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大学生活というものは、もっと劇的に始まるものだと勝手に思っていた。
入学式の日、桜の下で運命的な出会いがあるとか、講義室でたまたま隣になった誰かと意気投合するとか、サークル勧誘に巻き込まれた結果、それまでとはまるで違う世界が広がるとか。高校までの俺は、そんな話を小説やドラマの中だけのものだと笑っていたくせに、いざ自分が大学生になると、心のどこかで少しくらいは期待していたらしい。
だが、私立青葉ヶ丘大学に入学して二週間が経った現在、香坂悠真の大学生活は驚くほど地味だった。
講義に出て、昼食を食べ、次の講義に出て、帰る。
以上。
友人と呼べそうな相手も、一応はいる。基礎ゼミで隣の席になった久我蒼とは何度か昼を食べたし、連絡先も交換した。ただ、久我は今日は午後からアルバイトがあるとかで、一限が終わったところで帰ってしまった。
だから俺は今、一人で学生食堂へ向かっていた。
「……人、多いな」
昼休みの中央広場には、嫌になるほど学生がいる。
別に人間そのものが嫌いなわけじゃない。ただ、人が多い場所は昔から苦手だった。
春の風が吹くたびに、さまざまな匂いが鼻へ流れ込んでくる。誰かが飲んでいる甘いカフェラテ、芝生の青臭さ、植え込みの土、柔軟剤、香水、ヘアワックス。それから、少し遠くにある学食の換気口から漂ってくる揚げ物の油。
普通の人間なら気にも留めない程度なのかもしれないが、俺には全部が妙にはっきり分かる。
生まれつき鼻が利きすぎるのだ。
犬並み、などと言えば格好よく聞こえるかもしれないが、別に犯罪捜査に役立つわけでもなければ、ワインの銘柄を嗅ぎ分けられるわけでもない。ただ人より少し、いや、かなり匂いに敏感というだけだった。
そして、この体質は大抵の場合、便利さより面倒のほうが勝つ。
人混みを避けるように歩きながら、学食まであと少しというところで、俺は前方から勢いよく走ってくる人影に気づいた。
「すみませーん! 通ります!」
女子学生だった。
肩に大きなスポーツバッグを掛け、ジャージの上着を羽織っている。長い髪は高い位置で一つにまとめられていて、額には汗が浮いていた。
どうやら走ってきたらしい。
しかも速い。
「うわっ」
「きゃっ、ごめんなさい!」
曲がり角で真正面からぶつかりそうになり、俺は反射的に半歩後ろへ下がった。
女子学生も急停止した。
「ほんとごめん。大丈夫? ぶつかってないよね?」
「ああ。平気」
「よかった……。昼休み短いのに、ミーティング長引いちゃってさ。って、あれ?」
彼女はそこで言葉を止めた。
俺の顔を見る。
そして、さっき俺が一歩下がった場所を見る。
表情が微妙に変わった。
「……もしかして、私、なんかついてる?」
「いや」
「顔?」
「別に」
「じゃあ、その一歩は何?」
「一歩?」
「今、私が近づいた瞬間、下がったでしょ」
かなり細かいところを見ている。
「ぶつかりそうだったからだろ」
「それだけ?」
「それ以外に何があるんだよ」
女子学生はしばらく俺の顔を見ていたが、やがて、自分の首元を気にするようにジャージの襟を少し引っ張った。
その仕草で、俺にも何となく察しがついた。
彼女は走ってきたばかりなのだろう。汗をかいている。
そこを気にしているらしい。
「……ねえ」
「何?」
「正直に答えてほしいんだけど」
さっきまで明るかった声が、ほんの少しだけ小さくなった。
「私、やっぱり臭う?」
一瞬、答えに詰まった。
質問があまりにも直球だったからだ。
こういう時、一般的にはどう答えるのが正解なのだろう。
臭わないよ、と即答するべきなのか。
だが俺の場合、それは嘘になる。
「……汗の匂いはする」
言った瞬間、彼女の顔が露骨に曇った。
「ああ、やっぱり」
「いや、待って」
「いいよ、正直に言ってって頼んだの私だし。朝から部活だったから仕方ないんだけどさ。でも、やっぱり人と会う前に着替えてくればよかった。ボディシートも使ったんだけどなあ」
彼女は困ったように笑った。
明るく取り繕っている。
でも、その笑い方が妙に引っかかった。
昔から俺は、人が嘘をついているかどうかは分からない。だが、匂いに関してだけは、人よりずっと細かく感じ取ってしまう。
彼女からは確かに汗の匂いがしていた。
ただ、それだけではない。
洗いたてのタオルの匂い。薄い柑橘系のボディシート。それに、外を走った後特有の、日差しに温められた服と髪の匂い。
少なくとも俺には、不快ではなかった。
「別に臭くないぞ」
「今、汗の匂いするって言ったじゃん」
「汗の匂いがするのと、臭いっていうのは別だろ」
「え?」
「汗をかいてるんだから、汗の匂いがするのは普通だろ。でも、それが嫌な匂いかって聞かれたら、そうじゃない」
彼女は目を瞬かせた。
「……何、その理屈」
「理屈じゃなくて、事実」
「普通、女の子にそんな説明する?」
「そっちが正直に答えろって言ったんだろ」
「言ったけど、もうちょっとこう、言い方っていうものがあるじゃん」
「じゃあ、どう言えば正解だったんだよ」
「知らないよ。『全然気にならないよ』とか?」
「気にはなる」
「最悪じゃん!」
思わず声を上げた彼女に、近くを歩いていた学生が何人か振り返った。
「声大きい」
「誰のせいよ!」
「だから、悪い意味じゃないって」
「じゃあ、どういう意味なの?」
詰め寄られて、俺は困った。
本当に説明しづらい。
「……なんというか」
「うん」
「嫌じゃない」
「それはさっき聞いた」
「むしろ」
そこで止めればよかったのだと思う。
今振り返れば、間違いなくそうだ。
なぜ俺が、その先まで正直に言ってしまったのかは分からない。
ただ、その時の彼女が、自分の汗の匂いを本気で嫌っているように見えたからかもしれない。
「むしろ俺、その匂い、結構好きかもしれない」
沈黙した。
風が吹いた。
中央広場の木々がざわざわと揺れ、遠くでサークル勧誘の学生が「新入生まだ募集中でーす!」と叫んでいる。
そんな周囲の音だけが、やけにはっきり聞こえた。
「……は?」
彼女が言った。
「いや」
俺はようやく、自分が何を口走ったのか理解した。
「今のは忘れてくれ」
「ちょっと待って」
「忘れろ」
「無理でしょ!」
頬を真っ赤にした彼女が、俺を指差した。
「初対面に近い女の汗の匂いを『好き』って言う人、私、生まれて初めて会ったんだけど!」
「俺だってこんなこと言う予定じゃなかった!」
「予定があったらもっと怖いよ!」
「だから忘れろって」
「忘れられるわけないでしょ!」
こちらも恥ずかしくなってきた。
別に変な意味で言ったわけではない。
本当にただ、不快ではないということを伝えたかっただけだ。
それなのに、自分の口から出ると、とんでもなく怪しい発言になる。
彼女はしばらく俺を睨んでいたが、ふいに何か思い出したようにスマートフォンを見た。
「あっ、やばい! 学食!」
「何?」
「十二時半から友達と約束してるの! もう十二時二十七分!」
「それで走ってたのか」
「そうだよ!」
慌てて走り出しかけた彼女は、しかし二歩進んだところで止まった。
振り返る。
「ねえ」
「まだ何かあるのか」
「名前」
「名前?」
「あなたの名前。聞いてない」
俺は少し迷った。
「香坂。香坂悠真」
「香坂悠真……」
なぜか確認するように繰り返したあと、彼女は自分を指差した。
「私、夏目陽菜。文学部じゃなくて経済学部。陸上部。あと、別に毎日汗臭いわけじゃないから」
「最後の情報いるか?」
「いる! 非常に重要!」
夏目陽菜はそう言うと、今度こそ学食へ走り出した。
十メートルほど進んだところで、また振り返る。
「それから!」
「今度は何だよ」
「さっきの発言、まだ許してないから!」
「別に許してもらうようなことした覚えないけど」
「女の子に『汗の匂い好き』は十分事件なの! 覚えといて!」
言いたいことだけ言うと、彼女は今度こそ人混みの向こうへ消えていった。
残された俺は、その場で小さく息を吐いた。
「……何だったんだ、あいつ」
そう呟いた直後だった。
風が、彼女の走っていった方向から吹いてきた。
一瞬だけ、さっきの匂いがした気がした。
汗。
洗剤。
柑橘系のシート。
春の日差し。
俺は無意識に、その方向へ目を向けた。
もう彼女の姿は見えない。
なのに、なぜだろう。
今まで何百人、何千人と人間の匂いを感じてきたのに、夏目陽菜という名前と一緒に、あの匂いだけが妙に頭へ残っている。
「……いや、だから何なんだよ、俺」
自分で自分に呆れながら、俺は学食へ向かった。
この時の俺はまだ知らなかった。
数日後、あの夏目陽菜が、まるで俺を避けるようになることも。
そのくせ、俺が別の女子学生と話していると、妙に遠くからこちらを見てくることも。
そして彼女との出会いをきっかけに、俺が大学生活で最も関わりたくなかった種類の集団――人間の「好き」を真面目に研究する、通称「フェチ研」へ足を踏み入れることになるなんて。
もちろん、この時点では知るはずもなかった。
第89話 嬉しいと悔しいは、同じ日にあっていい 大会がすべて終わる頃には、空の色が少し変わり始めていた。 まだ夕方と呼ぶには明るいが、昼間の刺さるような日差しは少し弱くなっている。競技場を出る選手や観客が駅へ向かって歩き始め、入口付近にはスポーツバッグを持った学生たちの列ができていた。 陽菜は陸上部の仲間へ挨拶を済ませたあと、俺のところへ戻ってきた。「待った?」「そんなに」「嘘。二十分くらいかかったでしょ」「本読んでたから」「競技場まで来て本持ってきてるの、悠真らしいね」「待つ時間あると思った」「正解だった」 陽菜は少し笑い、そのまま俺の隣へ並んだ。 さっきまでよりは表情が柔らかい。ただ、完全に明るくなったわけでもなかった。自己ベストを出した嬉しさと、目標へ届かなかった悔しさの両方を持って帰ると言ったばかりだ。 それなら、どちらか一つの顔にならないのも当然なのだと思う。「駅まで歩ける?」「歩けるよ。脚は疲れてるけど、痛くない」「荷物持つ?」「大きいほうお願いしていい?」「いいよ」 スポーツバッグを受け取ると、思ったより重かった。「何入ってるの」「スパイク、着替え、飲み物、タオル、あと細かいやつ」「大会一日でこんなになる?」「陸上部は荷物多いの」「走るだけなのに」「今、全国の陸上部員を敵にしたよ」「言い方悪かった」「かなり」 そんなくだらない会話をしながら歩く。 大会直後にしては普通だった。 でも、競技場が少し遠くなった頃、陽菜が急に黙った。
第88話 自己ベスト。それでも彼女は、最初に笑わなかった 自己ベストを更新したのに、陽菜はすぐには笑わなかった。 レースを終えてからしばらく、俺たちは競技場の外側にある日陰を並んで歩いていた。陽菜は「ちょっとだけ待って」と言ったあと、スポーツドリンクを少しずつ飲みながら、ほとんど何も話さなかった。俺も無理に言葉を足さない。結果が出た直後くらい、本人の中で感情が追いつくまで待ってもいいと思ったからだ。 それでも、沈黙の中で考えてしまう。 自己ベスト。 前より速い。 数字だけ見れば、間違いなく前進だ。 でも、陽菜が狙っていたタイムにはほんの少し届かなかった。 だから「おめでとう」と言えば、目標未達を軽く扱っているような気がする。「惜しかった」と言えば、自己ベストを喜べないような言い方になる。「すごかった」と言えば、また結果を外側から勝手に良いものへ変えてしまうかもしれない。 前の大会で、それはかなり学んだ。 俺がどれだけ良い結果だと思っても、陽菜が悔しいなら悔しい。 今回は、そこに嬉しさまで混ざっている。「悠真」 しばらく歩いたところで、陽菜がようやく口を開いた。「何」「さっき、分からないって言ったじゃん」「嬉しいか悔しいか?」「うん」「今は分かった?」 陽菜はすぐには答えず、近くにあったベンチへ座った。俺も少し間を空けて隣へ座る。「……まだ、半分くらい」「半分?」「自己ベストは嬉しい」「うん」「ちゃんと嬉しいの。それは嘘じゃない」「うん」「でも、目標の数字見た瞬間に、そっちも同時に見えた」
第87話 彼女が走っている数十秒だけ、俺には何もできない スタートの合図が鳴った瞬間、陽菜は俺の知っている夏目陽菜ではなくなった。 もちろん、別人になったわけではない。けれど、さっきまで俺の前で「好きって言って」と頼み、少し怖いと笑い、日焼け止めの匂いを気にしていた彼女と、今トラックを走っている選手が、同じ人間なのにまるで違って見えた。 陽菜は自分のレーンを走っている。 最初のカーブ。前半は飛ばしすぎないと以前聞いたことがある。それでも、観客席から見ている俺には速いとしか分からない。陸上を何年もやっている人間ならフォームやペース配分をもっと細かく見られるのだろうが、俺にはそこまでの知識はなかった。 だから、ただ目で追う。 それしかできない。「行け……」 声が勝手に出た。 聞こえるわけがない。周囲にはもっと大きな声で選手名を叫ぶ人もいるし、トラックそのものが遠い。俺の声など陽菜には届かないだろう。 それでも言う。「陽菜、行け」 前の選手との差がどうなっているのか、一瞬では分からない。レーンが違うので、見た目の位置だけでは順位も判断しづらい。 俺は息を止めそうになり、途中で自分が呼吸していないことに気づいた。 走っているのは俺ではない。 なのに苦しい。 意味が分からない。 ホームストレートの反対側へ入る頃、陽菜の腕の振りが少し大きくなった。 あれが予定通りなのか、それとも苦しくなっているのか分からない。 分からないことばかりだった。 脚、大丈夫か。 ふくらはぎ。 昨日張っていた場所。 一瞬そこへ考えが向かい、俺はすぐにやめた。 今、それを考えても何もできない。
第86話 今回は、彼女から先に「好きって言って」と言われた 大会当日、競技場の入口近くで陽菜を見つけた時、俺は最初に「おはよう」と言うつもりだった。 昨日、二人でそういう話をしたからというより、それが一番普通だったからだ。大会だからといって特別な言葉を用意しておく必要はない。むしろ、前回みたいに余計なことを考えすぎるより、その時の陽菜を見て話せばいい。 そう思っていたのに、俺が口を開くより先に、陽菜はスポーツバッグを肩へ掛けたままこっちへ来て、少しだけ困った顔で言った。「悠真、今日だけは先に好きって言って」 かなり意外だった。「今?」「今」「前回、レース前は嫌だって言ってたけど」 そこまで言ってから、言い方を間違えた気がした。 陽菜も少しだけ眉を上げる。「それ、今言う?」「比較したかったわけじゃない」「でもした」「ごめん」 陽菜は一度息を吐いてから、肩に掛けていたバッグを持ち直した。「まあ、私も前と逆だなって思ってるからいいけど」「じゃあ、本当に今?」「うん。今は欲しい」 なら、迷う理由はない。「好きだよ、陽菜」 言うと、陽菜の顔が少しだけ緩んだ。「もう一回」「何で」「一回で終わると思わなかった」「注文多いな」「今日だけ」「好きだよ」 今度は少しゆっくり言った。 陽菜は数秒こっちを見たあと、「うん」と頷いた。その返事が昨日より落ち着いていたので、俺のほうも少し安心する。「これでいい?」「かなり」「
第85話 大会前日に、彼女が珍しく「怖い」と言った 大会前日の陽菜は、思っていたより普通だった。 午前中に軽い調整をしたあと、昼過ぎに大学近くの喫茶店で会った時も、特別ぴりついている様子はなかった。髪はいつものように結ばれていて、注文したのもいつものアイスティーだったし、俺が頼んだプリンを見て「一口ちょうだい」と言うところまで普段通りだった。「自分で頼めばよかっただろ」「一個はいらないの。一口がいい」「その理屈、毎回ずるい」「彼氏のプリンは一口だけ食べると一番おいしい」「そんな効果ない」「あるよ。自分のお金で買ってないから」「最悪の理由」 結局一口やると、陽菜は満足そうに笑った。 この顔だけ見ていれば、明日大会だとは思えない。 俺のほうが意識しているくらいだった。脚の張りはどうか、体調はどうか、睡眠は取れているか。聞きたいことはいくつもある。 でも、ここ数日の話を考えると、全部確認するのも違う気がした。「脚」 それでも一つだけ聞く。「大丈夫」「本当に?」「朝、コーチにも見てもらった。昨日より軽いし、痛みもない。今日は流しとスタート少しだけで終わり」「ならよかった」「悠真」「何」「今ので一個終わりね」「何が」「体調確認」 読まれていた。「もう聞くなってこと?」「聞いてもいいけど、五分ごとに大丈夫って言われると、逆に何か悪い気してくる」「そこまでは聞かない」「ならいい」 陽菜はアイスティーを飲んだあと、少しだけ俺の顔を見る。
第84話 好きだから止めたい。でも、止める権利まではない 前日に読んだ相談カードのことが、翌日になっても頭に残っていた。 恋人が試験勉強で疲れ切っている。見ているのがつらい。だから「もうやめればいい」と言いたくなる。 昨日はかなり整理したつもりだった。頑張ることそのものと、寝不足や食事の乱れは分けて考える。心配していることは具体的に伝える。でも、相手が続けるかやめるかまで先回りして決めない。 理屈としては分かった。 問題は、それが自分のことになると急に難しくなることだった。 翌日の午後、俺は大学の陸上競技場の外側にあるベンチへ座っていた。陽菜に呼ばれたわけではない。図書館へ行く途中、たまたま練習が見える場所を通っただけだ。 少し見てから行こう。 そう思った。 競技場では短距離組がスタート練習をしていた。遠くからでも陽菜は分かる。走り方もそうだが、スタート前に一度だけ肩を回す癖がある。 何本か走る。 止まる。 コーチらしい人と話す。 また走る。 見ているだけなら、特に問題はなさそうだった。 ところが一本終わったあと、陽菜が左のふくらはぎを押さえた。 胸が少し動く。 すぐ離した。 歩いている。 引きずってはいない。 ストレッチをして、またスタート地点へ戻る。「……大丈夫か」 誰にも聞こえないくらい小さく言った。 次の一本。 走る。 普通に見える。 でも、一度気づくと気になる。 走り終わるたびに脚を見る。歩き方を見る。本人が少しでもふくらはぎへ触れると、それだけで不安になる。